平成29年度 事業報告

  • 1.事業概要

     文化、経済、学術、マスコミ、行政など多様な分野で活躍している人たちが一体となり、平成23年2月に発足した「文化・経済フォーラム滋賀」は7年目を迎え、平成29年度も引き続き県内の文化活動を活性化し、滋賀県の文化・経済の発展に寄与するため、新規事業に取り組んだほか各種事業の一層の充実に努めた。

     新規事業として、第7回総会(平成29年)の提言を踏まえ、「地域文化をはぐくむ観光とは」をテーマに、「文化で滋賀を元気に!シンポジウム」を開催したほか、当フォーラム設立から実施する「2017文化で滋賀を元気に!賞」の募集をはじめ、文化と経済の新たな展開を考える「文化ビジネス塾」「文化経済サロン」、さらに文化芸術を通して企業と文化団体が交流する「文化経済アートステージ」などを行った。

     なお、当フォーラムの事務局は、財団の組織再編により、平成29年4月から(公財)びわ湖芸術文化財団(びわ湖ホール内)に移転した。

     ○会員数は下記のとおり。 ※( )内は平成28年度会員数

      会員数 195人(団体) (210)
      ・内訳

          個  人 114人 〔県内103、県外11〕 (127)
          文化団体 32団体 〔県内31、県外1〕 (33)
          法  人 49団体 〔県内48、県外1〕 (50)

    2.事業実績

    (1)「文化で滋賀を元気に!」するプロジェクトの実施

    ①「2017文化で滋賀を元気に!賞」の実施

     文化の力で、活力あふれる地域社会の実現に貢献されている団体または個人に、感謝と今後の活動を期待して表彰する「2017文化で滋賀を元気に!賞」を実施した。県内各地から24件の応募があり、その中から、6団体が大賞(1件)と各賞(5件)に選ばれた。
     ★大賞<創造的保存で未来を拓く文化賞>
      元・正蔵坊と古庭園を楽しみ守る会(ながらの座・座)(大津市)  
        ★各賞

    <妖精と暮らす街文化賞> アート探検隊ピカソ・スイッチ 妖精の扉プロジェクト (東近江市)
    <彦根のにぎわい創出文化賞> アートフェスタ勝負市実行委員会 (彦根市)
    <映像を未来につなぐ文化賞> >おうみ映像ラボ (県全域)
    <地域再発見文化賞> 風と土の交藝プロジェクトチーム (高島市)
    <フルートで琵琶湖を奏でる文化賞> フルートオーケストラ湖笛(うみぶえ)の会 (県全域)

    ○表彰式:平成30年2月18日(日)

     表彰状と記念のトロフィー(陶芸家、京都精華大学名誉教授 川崎 千足 氏・制作)を贈呈

    ②「文化で滋賀を元気に!」する調査研究、提言

     滋賀県の文化振興に関する調査研究をするとともに、地域経済の振興という観点から文化を考え、新しい構想やプロジェクトの提案を行った。

    ア 文化で滋賀を元気に!シンポジウム

     第7回総会(平成29年)の提言に基づく、文化で滋賀を元気にするための方策を考えるシンポジウムを本年から開催。今回は、経済波及効果が期待される「観光」について、実践報告や意見交換を通して、地域の文化や歴史、まちづくりの観点からどうあるべきかを考えた。
      日時:12月24日(日) 14:00~16:00
      会場:ピアザ淡海大会議室
      テーマ:「地域文化をはぐくむ観光とは」
      講演:「文化/観光/まちづくり」
       講師:金野 幸雄 氏((一社)ノオト代表理事)
      パネルディスカッション:

    パネラー: 金野 幸雄 氏  
      三宅 進 氏 (針江生水の郷委員会会長)
      宮崎 瑛圭 氏 (とよさと快蔵プロジェクト)
      林 俊介 氏 ((公社)びわこビジターズビューロー国内誘客部副部長)
    コーディネーター: 十倉 良一 幹事

    イ 文化ビジネス塾(第10回)

     第2回総会(平成24年)で発表された提言「文化ビジネスの開発で滋賀の文化と経済に新展開を」を具現化していくための「文化ビジネス塾」。今回は、文化・芸術活動に対するファイナンスという切り口から、クラウドファンディングの専門家および経験者を招き、クラウドファンディングによる地域活性化の可能性を探った。
      日時:11月14日(火) 14:00~16:00
      会場:VOID A PART(ヴォイド ア パート)(彦根市)
      テーマ:「クラウドファンディング~文化・芸術活動を育てる新しい支援のカタチ~」
      講演:
      「クラウドファンディングについて」
       講師:舩木 敏男 氏((株)滋賀銀行営業統轄部地域振興室長)
      「VOID A PARTの誕生まで」
       講師:周防 苑子 氏(VOID A PART代表)、牧 貴士 氏(VOID A PART共同代表)
      パネルディスカッション:

    パネラー: 舩木 敏男 氏、周防 苑子 氏、牧 貴士 氏  
      宮村 利典 氏 ((株)Wallaby代表取締役)
      井上 昌一 氏 ((株)井上代表取締役)
    ファシリテーター: 秋村 洋 幹事

    ウ 提言チーム研究会

     当フォーラムの事業と連携しながら、滋賀県の様々な現状から、滋賀県の文化と経済について、新たな展開につながる提言を行うための研究会を実施。2月の第7回総会に向けて、平成28年12月の「世界農業遺産」に引き続き、「世界遺産」「日本遺産」および「日本遺産を活かした観光」について、話題提供していただいた。
      日時:1月19日(木) 18:00~19:45
      会場:旧大津公会堂 会議室(大津市)
      話題提供
      1.「世界遺産・日本遺産について」
       矢田 直樹 氏(滋賀県教育委員会文化財保護課)
      2.「日本遺産を活かした観光について」
       廣脇 正機 氏((公社)びわこビジターズビューロー専務理事)

    ③「文化で滋賀を元気に!」シンボルマークの利用促進

     県内において文化振興に関する事業を行う団体等多くの方が、シンボルマークの利用を通じて、「文化で滋賀を元気に!」していく気運や一体感が醸成されるよう利用の促進に努めた。

    (2)「文化で滋賀を元気に!」する情報交換の場の提供

    ①総会・講演会・交流会の開催

     文化は心を満たす人間にとって大切なもの、「文化はムダでない」と題したサントリー元副社長の津田氏による講演会、30件の応募の中から選ばれた「2016文化で滋賀を元気に!賞」の表彰式、文化と経済の新展開に向けた提言発表を行い、交流会では、様々な分野で活躍する会員との親睦を深めた。

    ア 第7回総会(講演会・交流会)

      日時:2月12日(日) 14:00~18:30
      会場:びわ湖大津プリンスホテル プリンスホール(大津市)
       (基調講演)113人 (総会)79人 (交流会)75人
    <議 事>
     第1号 平成28年度事業報告について
     第2号 平成28年度収支決算について
     第3号 平成29年度事業計画について
     第4号 平成29年度収支予算について
     第5号 規約の一部改正について
     第6号 役員の改選について

    イ 基調講演:「文化はムダでない」

      講師:津田 和明 氏(サントリー(株)元副社長、(独)日本芸術文化振興会前理事長)

    ウ 「2016文化で滋賀を元気に!賞」表彰式

    エ 「文化で滋賀を元気に!」する提言発表

      『世界遺産、無形文化遺産、世界農業遺産の登録等への取組を
            ~ 地域の文化遺産を見直し、グローバルな評価へ ~』

    オ 交流会

     

    ②「文化経済サロン」の地域開催

     文化と産業との連携による産業振興モデルを模索する(公財)滋賀県産業支援プラザ等の「ビジネスカフェ」、文化ホールの活動を通して地域の文化振興と地域社会の活性化を目指す滋賀県公立文化施設協議会の「トップセミナー」を、それぞれ共催で開催し、各分野で活躍されている方々と情報交換を図った。

    ア ビジネスカフェ

      日時:11月29日(水) 13:30~16:30
      会場:滋賀県立文化産業交流会館(米原市)
      テーマ:「日本の伝統と現代の感性を和え、次世代につなぐ」
         講師:田房 夏波 氏((株)和える西日本総括本部長)
      共催:(公財)滋賀県産業支援プラザ、(公財)びわ湖芸術文化財団

    イ トップセミナー

      日時:12月16日(土) 11:00~16:00
      会場:びわ湖ホール(大津市)
      講演:「文化芸術と地域の活性化 ~文化芸術が地域の活性化に果たす役割~」
         講師:星野 有希枝 氏(文化庁 地域文化創生本部 総括・政策研究グループ)
      鑑賞:「びわ湖ホール声楽アンサンブル第65回定期公演」
         指揮:ロメリー・プフント
         曲目:レーガー/8つの宗教的歌曲より聖母様の夢
      共催:滋賀県公立文化施設協議会

    ③「文化経済アートステージ」の開催

     会員の企業から提供いただいた会場で会員による演奏会を開催し、企業、演奏家および地域の方々が出会い交流し、文化芸術を身近に触れていただく場とした。
      日時:10月7日(土) 14:00~15:30
      会場:甲賀高分子(株)(湖南市)
      内容:会社紹介
      コンサート:   

    出演: 井伊亮子(フルート)、足木かよ(ヴァイオリン)、光永秀子(チェンバロ)、ホルン三重奏「みらくる」(甲賀高分子(株)社員有志)

      共催:(公財)びわ湖芸術文化財団

    (3)「文化で滋賀を元気に!」する提言に基づく研究と実践

    ○国民文化祭の視察と滋賀での開催に向けた勉強会の開催

     奈良県で初めて一体開催となった国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭の「開会式・オープニングフェスティバル」を視察した。
     また、平成28年の国民文化祭の開催地・愛知県から担当者を招き、準備段階から開会式・オープニングおよび市町との取組について話題提供していただき、今後滋賀での開催のあり方を考える勉強会を行った。

    ①「第32回国民文化祭・なら2017」「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」開会式・オープニングフェスティバル視察

      日時:9月2日(土)19:00~21:00
      会場:華厳宗大本山 東大寺 大仏殿前(奈良市)

    ②国民文化祭の滋賀での開催に向けた勉強会

      日時:12月8日(金) 14:00~16:00
      会場:コラボしが21 中会議室(大津市)
      話題提供:「国民文化祭が愛知県にもたらしたもの」
       記録映像「第31回国民文化祭・あいち2016」
       中西 由美子 氏、安藤 正志 氏(愛知県県民生活部文化芸術課)

    (4)「文化で滋賀を元気に!」する広報活動の展開

    ①ホームページによる発信

     当フォーラムの紹介や入会案内をはじめ、各種事業の情報提供や「文化で滋賀を元気に!」シンボルマークの利用促進を行った。

    ②ニュースレターの発行

     平成29年から「ニュースレター」として、当フォーラム事業の告知や結果、会員の事業案内、投稿などを掲載し、年2回発行した。
    ・第1号(6月発行)
     第7回総会・講演会の報告、「文化で滋賀を元気に!賞」の紹介、事業の告知、会員の事業案内、連載レポート「近江屋考①」、新役員の紹介
    ・第2号(12月発行)
     平成29年度事業の報告、連載レポート「近江屋考②」、第8回総会・講演会等の告知

    ③会員活動チラシの送付

     会員の活動チラシ等を当フォーラム事業案内に併せて、会員あてに送付した。

    (5)「文化で滋賀を元気に!」する事業への後援、参画等

    ①後援:10件 (16) ※( )内は平成28年度実績数

    ②参画:

      「ラ・フォルジュルネびわ湖2017」推進委員 ※11月15日まで
      「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭2018」推進委員 ※11月15日から
      「滋賀・びわ湖ブランドネットワーク」幹事

    ③加盟:全国メセナネットワーク

    3.幹事会等の開催状況

    (1)幹事会

     10回開催

    1月12日(木)、1月30日(月)、3月9日(木)、5月11日(木)、6月8日(木)、7月13日(木)、9月14日(木)、10月12日(木)、11月9日(木)、12月14日(木)

    (2)企画推進会議

    7回開催

    5月8日(月)、6月5日(月)、7月10日(月)、9月11日(月)、10月4日(水)、11月6日(月)、12月11日(月)

    (3)情報発信部会

     平成29年事業を企画推進するため、情報発信部会(部会長 井上 建夫 幹事)を開催した。第7回総会(平成29年)の提言に基づき、「日本遺産」を活かした秋からの取組について話題提供いただき、新規事業「文化で滋賀を元気に!シンポジウム」のテーマなどを話し合った。
      日時:6月28日(水) 18:00~20:00
      会場:旧大津公会堂 会議室(大津市)
      話題提供:
       「日本遺産 滋賀・びわ湖 水の文化ぐるっと博」
        木村 俊晴 氏((公社)びわこビジターズビューロー)