平成24年も早や半年を過ぎ、新年度スタートから早や3ケ月を経過しました。異動の着任間もない職員も3ヶ月間のハネムーン期間を終えて、本格始動の季節となりました。といいましても、これから拍車をかけているようでは仕事の手順としては遅すぎていまして、この3ヶ月間にどのような準備をしているかが勝負所となります。その蓄え如何で下半期の事業の流れが全く違ってくることは長年経験を積めば理解できることです。
本事業団が管理運営している滋賀県立文化産業交流会館としが県民芸術創造館では、2館一体管理のテーマとして「温故知新」を掲げています。県立施設の悩みであるコミュニケーション不足を解消するため、事業促進と情報共有及びアートマネジメント研修を目的に、昨年度から企画戦略会議と学芸会議を月一回、2館で交互開催しています。
インフォメーション・テクノロジーが加速される現代ですが、一見時間の無駄とも思えるようなアナログ的な会議の開催は、職員のコミュニケーション能力の向上に大いに役立っていると感じています。協議事項やアートマネジメント研修などは、極力ディスカッション方式を取り入れるようにしており、組織の縦割りなどで、普段からなかなかうまく話せない職員たちが意識的に会話をすることで、違った価値観や今までにない刺激を受け入れたりしながら、課題に対応しています。
そのような二つの会議ですが、例年必ず、所信表明をすることにしております。大それた演説にはほど遠いものですが、当該年度の運営方針を企画職員で共有して、同じベクトルをもって仕事に励もうというメッセージです。本年度は、以下の①から⑤までの方針を定め、具体的な事業を通して進めることを確認しました。
① 職員の制作力と創造力のさらなる向上を目指す
② 特に企画立案、実施計画、予算編成、実務的な処理能力を強化する
③ イベント主義や知名度中心の「集客」という考え方から脱却して、外部環境の変化に対応できるマネジメントを行い、
鑑賞者開発やアーツマーケティングなどの新しい観客育成の考え方を習得する。
④ 情報共有、情報流通、情報公開、進捗管理などをさらに徹底すること。
⑤ 職員一人一人が自覚を持って事業に取り組み、合意形成力や意思決定力を高める。
立派な文化施設や新しい施設は時には話題になりますが、どんなに素晴らしい施設であっても、そこに働く職員の質が低下しているようでは、真の優れた施設とはいえません。建物は多少古くても、自分の働く施設に誇りと自信があれば、優れたサービスや事業を提供することができますし、それは将来的には県民に愛される施設になれるはずです。
人材育成をモットーとしている私は、事業の根幹にいつも「人材を人財として育成する」というコンセプトを据えています。「人材は育てるものなのか、あるいは勝手に育っていくものなのか」という命題は永遠です。人材は、意識的に育てていきつつ、勝手に育つ環境を整えるということが重要なのだと思いますが、外部環境の変化が早い現代においては、なかなか難しいことも否めません。そのような中で、人材育成の方針も明確にしました。
① 滋賀県民から必要とされる組織及び人材を目指す
② 何かを感じ、常に考えることができる自発的で思考性に富んだ人材を目指す
③ 礼儀や倫理を重んじ、誠実な対応ができる人間性を培うことを目指す
④ 他者責任にせず、絶えず、自己を見つめ直すことを目指す
⑤ 自分の手柄よりも、チームや組織のために、貢献することを目指す
⑥ 劇場機能の向上、危機意識の醸成、専門性の習得を目指す
公金を給与としていただき、アーツマネジメントのプロである以上、当たり前のことが当たり前にできて当たり前ということを肝に命じて、日々、職員と共に事業に取り組んでいます。