FMおおつに生出演 | びわ湖芸術文化財団 地域創造部

6月30日に大津の地域コミュニティラジオ局「FMおおつ」(79.1MHz)の土曜生番組「この人に聞く」に出演しました。小誌「湖国と文化」でも紹介した小さなラジオ局で、大津市役所近くにスタジオがあり、出力10ワット、大津市中部をエリアとしていますので、当日聴いて下さった方があるかも知れません。社長の古田誠さんは元毎日新聞記者。和歌山放送にも勤められ、災害時にどこでも聴けるラジオの役割に着目して開局した方です。放送と季刊雑誌、媒体は違いますが同じ「報道」に携わる者として「出演してよ」「はい」と気軽なやりとりをして実現しました。
さて当日、簡単な打ち合わせとマイクの調整をして、午前11時から午後0時55分までの番組に臨みました。パーソナリティー(進行役)はマダム芦田こと芦田淑恵さん、「魅せ方プロデューサー」の肩書きを持つ方で、芦田さんの見事なリードによって、徐々にくつろぎ、なんとか務めを果たすことができました。
芦田さんが不思議に思われたのが、私が選んだ放送中に流す曲のリストです。事前の打ち合わせの際、「好きな曲を」と言われ、考えたあげくに「淡海節」「鈴鹿馬子唄」「琵琶湖周航の歌」の3曲を選んだのですが、芦田さんはこのうち「淡海節」「鈴鹿馬子唄」はぴんと来なかったようです。実はこの3曲は、2014年春に刊行した「湖国と文化」第147号の特集「現代・滋賀の歌」で取り上げた滋賀がらみの曲で、滋賀県民にもっと歌って欲しいと取り上げた曲だったのです。
同号を持参していたので、早速、芦田さんに目を通していただき、放送でも取材当時のエピソードなどを思い出しながら話したので、曲も話も興味深く聞いていただいたように思います。芦田さんは「舟をひきあげ漁師は帰る」という名文句で始まる「淡海節」はご存じないようでした。この曲は喜劇役者志賀廼家淡海が大正期に創ったもので、大津市堅田を拠点に保存会も作られ、毎年9月に同市北部地域文化センターで全国大会が開かれています。ところで、FM局が用意してくれたのは三橋美智也盤で、「舟をひきあげ船頭さんは帰る」としたアレンジ版でしたが、往年の大歌手の歌声がとても懐かしく感じられました。JR堅田駅前や堅田漁港のちかくに顕彰碑や歌碑があるので、関心がある方はぜひ訪れてみてください。
「鈴鹿馬子唄」は旧東海道の三重県境にある難所・鈴鹿峠にちなんだ馬子唄で、従来、三重県関町(現亀山市)中心に「正調」が歌われていました。しかし、峠の滋賀側に位置する土山町が近年、町おこしの一環として民謡歌手の成世昌平さんらとともに新しい感覚の民謡として作り直したのがこの「鈴鹿馬子唄」なのです。同町のあいの土山文化ホールで今年も6月に第27回全国大会が開かれています。成世さんは町(合併後は市)の要望で今でも町内の小学校で「鈴鹿馬子唄」の指導(レッスン)をしておられ、その中から全国大会の児童の部で優勝し、東京の民謡大会に出演した児童も生まれています。子どもたちには得難い経験になるでしょうね、と芦田さんは興味深く聞いてくれました。
「琵琶湖周航の歌」は昨年、100周年を迎えましたので、「湖国と文化」では97年目に取り上げたことになります。全6番の曲ですが加藤登紀子さんらの大歌手でも録音時間の制約から、通常、4番までしか歌いません。ところが、この特集でインタビューした滋賀の音楽ユニット・リーファ(北川陽大・河野弘行さん)は「6番まで歌わないと滋賀の音楽ユニットとして意味がない」とCDにするとき、音楽会社を押し切ったそうです。「西国十番長命寺」で始まる歌詞には「語れ我が友熱き心」と青年らしいメッセージが込められているのです。そんないきさつがあるので、放送でも6分間、6番まで流してもらいました。2時間のインタビュー、受ける前は「果たしてきちんと話せるだろうか」と心配でしたが、芦田さんのリードもうまく、歌の話などを話している内にあっという間に終わりを迎えました。もっともっと話したい、という訳ではありませんが、「湖国と文化」をテーマにした心地よい時間でした。機会がいただければまた挑戦したいと感じた2時間でした。

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