晴れて滋賀県民となった日に - びわ湖芸術文化財団 地域創造部

 12月1日いよいよ滋賀県の住人となった。鳥取県文化振興財団の文化芸術専門職として9年3ヶ月を過ごした鳥取を後に、新旧の複雑な思いが交錯する。荷物の仕分けも古い資料と新しい資料にすみ分け、鳥取の思い出の数々は、当分の間押入の奥にしまっておこう。

 平成21年度から大津へ月に数日間の通い勤務から、生活の拠点を滋賀に定めての新生活がスタートする。地域での文化芸術の育成は生活を共にしてこその実践であり、生活の中からその地域の文化や芸術を嗅ぎ取っていくことが重要である。目には見えないいろいろなものを感覚的に捉える心の目が必要で、毎日発見の日々を続けていくことが肝要だ。地域文化に謙虚に向き合い、声なき声をきく努力を惜しまない、その心がけを絶えず自身に命じている。札幌、仙台、広島、鳥取に次いで滋賀が5都市目、長期滞在の拠点となった。

 外部環境の変化が著しい昨今であり、当事業団の行く末も不透明なところはある。焦らず、スピーディーに、確実に、手堅く、真摯に取り組みたい。県民にとって必要な人材、県民にとって必要な組織となるために何ができるのか。公的資金を活用する文化事業や劇場経営を納税者にわかりやすく説明する責任をどう果たしていくのか。滋賀県でのハードルは高く、一筋縄ではなかなか動かないスケールの大きさを感じている。「県民から必要とされる人材育成と劇場経営」を目指したいと思う。

 当事業団の平均年齢は、なんと49.5才、逆三角形型の職員構成。それは滋賀県文化振興事業団の社史と呼応しており、古き良き時代のほのぼのとした雰囲気と、激変する時代に翻弄される弱さとが共存している。職員一人一人の人的資源を有効活用しなければならないが、職員一人一人の自己改革が最も求められている。

 特に文化産業交流会館は、平成23年度より貸し館事業中心の事業形態から、創造発信型のプロフェッショナルな専門劇場へと転じている。そのため、職員のアートマネジメント技術と能力を創造発信型の劇場に相応しい能力に開発していかなければならない。ハードが多少痛んでいようが、財政が厳しかろうが、人材がその劇場に育っていれば、知恵と創意工夫は自ずと湧いてくる。そのためにアートマネジメントの知識やノウハウを学び、創造現場で実践していくことが必要なのである。

 第2期目の指定管理期間は3カ年ととても短い。平成24年は当事業団にとって勝負の年である。大きなハードルを総力戦で超えていくことができるのか。貸し館事業中心のホールから果たして脱却できるのか。透明性ある劇場経営の説明責任を果たすことができるのか。課題は山積しているが、挑戦し続けるしかない。当事業団が全国的な組織再生のモデルケースとなるような劇場経営を提案できたらと思う。

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