平面の部
 平面出品作品総数   平面応募者数 
 審 査 員 
 入 賞 作 品 
259点
254人
入佐美南子氏・上平貢氏・

烏頭尾精氏・竹内浩一氏・

原田平作氏・森田康雄氏

以下のとおり
(敬称略)
【総評】(上平 貢)
本県展は62回を数える。その間絵画の分野は、特に日本画・油画・版画などを区分しないで、平面として一括して審査・展示を行い現在に至っている。広く高次な視点で絵画全体をとらえ、そこに未来への新しい次元の到来を予感しようとした姿勢はユニークといえよう。 

今日の国内外の政治や経済の不安な状況を反映してか、この度、応募作品点数が若干の減少となった。全体として作品の内容にやや元気を欠くのはその為であろうか。しかし独創的で個性的な魅力にあふれた作品も多数あり、画題や技法・作風に今後の可能性を感じさせる若い世代の登場は明るさを期待させてくれる。(烏頭尾・入佐)

とりわけ芸術文化祭賞をはじめ特選・佳作の作品のレベルは、例年に劣らず高く、バラエティーに富んでいることはよろこばしい。(竹内・上平)

 本年の傾向として、如何にも滋賀の里らしい身近な風景や民話的な主題が少なかったようだ。(森田)

 一方、受賞作品の多くに写実力を技術面にとどめず、制作の内容に向け、発想の豊かさに結びつけて成功した作品も多かった。(原田)

 古い歴史と美しい自然に恵まれた湖国の四季は、人びとに無尽蔵の芸術美の源泉を提供してくれるはずである。本展の今後の一層の発展を念じている。

【選評】
● 芸術文化祭賞
[作品評]
 いつも社会的テーマを追い続け、思想性を秘めた作品は、不思議な空間とリアリティーを醸し出している秀作である。(森田 康雄)
「ミチクサ」 小泉 広明
● 特選
○滋賀県美術協会賞
[作品評]
蓮の花と葉をモチーフに大胆な構成で描かれた作品です。試行錯誤されて作られた花や葉の形態の構成が新鮮な印象を与え、パステル等の線に動きが感じられ、色の調和も美しく、好感の持てる作品です。(入佐 美南子)
「蓮森」 山本 麻衣子
● 特選
○滋賀県造形集団奨励賞
[作品評]
 ボクサーとしてリングに立っている夢の情景でしょうか?背景の朦朧とした調子、観客の表現、ボクサーの表現が効果的に構成されています。会場の雰囲気が表出され、将来に期待の持てる作品です。(入佐 美南子)
「夢みること」 萩谷 貴之
● 特選
○滋賀県文化振興事業団理事長賞
[作品評]
 象を真正面から捉え、力感あふれる作品に仕上っている。ダイナミックな筆法も象の持つ量感とペーソスをそなえ魅力がある。(竹内 浩一)
「サハラの風 U」 宇野 曰
● 特選
○読売新聞社賞
[作品評]
 花のもつ生命力が感じられる。その形が、明快な線で描き切っているからであろう。
 その背景にさまざまな表情をのぞかせている。全体に色彩が抑制されているため、一層花の華やぎが見えて魅力的な作品になっている。(烏頭尾 精)
「anitya」 藤本 達子
● 特選
○共同通信社賞
[作品評]
 安定した構図と色調が見る側を安心させてくれる。又、誠実で味わいのある仕事に好感が持てる作品である。寒色の中の暖色にもう少し気くばりが必要です。(森田 康雄)
「エピローグ」 近藤 恭子
● 特選
○朝日新聞社賞
[作品評]
 地塗りに使われた画材でのマチエールが効果的で、帽子を被った人物の影の表現が、時の流れを感じさせます。また背景の空間の処理と影の形の構成に、シンプルでありながら、力強いインパクトを感じます。(入佐 美南子)
「刻」 久川 邦代 
● 特選
○京都新聞社賞
[作品評]
 鉄道、特に蒸気機関車の世界を現そうというのであろう。右手の白をバックに黒い塊を左に配し、線路などを線で描いて夢の世界へと誘う。詩的な世界になっているところがよい。(原田 平作)
「鉄塔のある風景」 友政 光雄
● 特選
○毎日新聞社賞
[作品評]
 百合をもった陽と陰の人物を左右に配し、中央に大きく夢見るよな人物を示す。それはバラの薫りによって深められているかのようである。あり得そうな超現実の世界である。巧みな描写力があるからこそ違和感がないのであろう。あごの表現が少し気になる。

                                 (原田 平作)

「百合と薔薇」 森口 義一
● 特選
[作品評]
 軽妙なタッチの表現は、リリカルな情感を湛えて面白い。

明るい黄系の素地から、削り出されるマチエールは、楽の音を奏でさせていい。

                                  (竹内 浩一)

「ひまわり畑につづく道U」 井上 知枝
● 特選
[作品評]
 光を見事に描き込み、その描写力は魅力的。水面に落ちる蓮の葉の影の表現が秀逸である。空の色が美しく空気が伝わる。風景的だが、その描写の美しさに花鳥画を想わせる。

                                  (烏頭尾 精)

「眩しさの向こうに」 塩賀 史子
● 特選
[作品評]
 髪飾りをつけた人形を中心にさまざまな表情をもった人形を組み合せて、まとまった画面に仕上げている。手前に配された袋などによって実在感も高まっている。ただちょっと注意する必要があるのは、このような構成は時々みかけるのではないかということである。

                                  (原田 平作)

「冨田人形館にて」 小椋 みよ子
● 特選
[作品評]
 庭の一隅が細やかに描写され、作者の対称への愛情のそそぎ方が見え、ほほえましい。

 色彩が美しく、緑色の扱い方が素晴らしい。よく観察されて描かれている様子がうかがえる。

 背後の板壁の色も素直にとらえられ、自然感が漂う。(烏頭尾 精)

「片隅の出合」 谷村 純子
● 特選
[作品評]
 作者の室内風景であろうか、身近なテーマで地道に対象に真摯に向かう労作に好感が持てる。青色の使い方には注意が必要です。(森田 康雄)
「Holiday」 田辺 美穂子
● 特選
[作品評]
リンドウの花だろうか、薄ブルー系の色調にまとめられ、爽やかな自然のかほりがする。大きく取った白い空間の草むらから、ゆるやかな風を感じさせ好作になった。

                                 (竹内 浩一)

「星の界」 垣見真由美
● 佳作
「野田幸子」 町工場

 

「作品T/08/09」 中村 佳阿瓔
「追想」 河野 真弓
「自分」 平良 円
◆立体の部
「赤い錠」 仲川 千秋
◆工芸の部
◆書の部