第56回滋賀県写真展覧会(平成29年度)
滋賀県写真展覧会審査結果
出品作品内訳
出品作品総数 | 応募者数 | 芸術文化祭賞・特選・入選数 |
526点 | 276人 | 115点 |
審査員
木村 晃造 氏 [写真家・(公社)日本写真家協会会員(JPS)]
髙橋 靖 氏 [写真家・(公社)日本広告写真家協会会員(APA)]
入賞作品
総評
入選、落選を決めるのに苦労しまして、審査に時間を要しましたが、全体的に大きな差がなく、いい写真が多く、レベルが上がってきたなと思い審査をしておりました。(木村)
滋賀県は写真熱の高いところだと思っていましたが・・・想像以上にレベルが高いですね。表現意図と技術が上手くバランスされています。ある風景、ある事象、あるモノ・・・をそのまま写すのでなく、被写体の向こう側まで見つめているような・・・深さを感じさせてくれる作品に多く出会うことが出来ました。(髙橋)
芸術文化祭
「Wonderful Life」 土肥 美帆 (草津市)
選評
猫の写真はすごく多いんですけれども、この写真を見ていると猫の絵本を見ているようなストーリー的なもので、1枚1枚が可愛く写されている。風景があって猫がいるという岩合光昭さんの写真によくあるんですが、それとちがってドラマが入っているという感じが出ていて良かったと思います。左はこっちを見ている写真、真ん中は会話をしている写真、右側は自由に遊んでいる写真、無邪気な表情がなかなか撮れないんですが、いい写真でした。(木村)
特選・滋賀県議会議長賞
「今日あればこそ」 木村 正司 (草津市)
選評
このおばあさんの表情が上品で、なぜペットボトルを持っているのか不思議なくらいで、この作品もドラマの中で自然的に捉えられており、後ろの夕焼けの風景もなかなかきれいで、よく一瞬のスナップが撮れたなと思います。いい作品で良かったと思います。(木村)
特選・滋賀県教育委員会教育長賞
「風雪に堪えて」 松原 修 (守山市)
選評
野生の馬ですよね。横殴りの風と雪に耐えてる姿・・・この厳しさに言葉を失います。悪条件の中で、しっかりと写されてますね。(髙橋)
特選・びわ湖芸術文化財団理事長賞、甲賀市教育委員会教育長賞
「花匠」 常石 由美子 (草津市)
選評
この方も何点か出されて、特にこの1枚は「蓮」という、いつもは花が写ったりしているんですけれども、これは太陽の逆光で撮られているんですが、よく大胆なかたちで捉えられたすごい写真で、心証的にも不思議な写真だと思います。(木村)
特選・滋賀県写真連盟会長賞
「パステルな記憶」 折笠 さつき (守山市)
選評
デジタルのフォトショップ?を駆使した写真は、どこかで鼻につくことがあるんですが・・・この作品からは一切それが感じられないほど自然。それは技術力と表現力が上手く融合されているからだと思います。真っ白いキャンバスに描かれた作者の淡い追憶が印象的。
(髙橋)
特選・中日新聞社賞
「嵐の後」 三島 康嗣 (彦根市)
選評
水面が省略されて、シルエット撮影かと思ったけれど、傘の柄のテクスチャ(質感)があるのが不思議。白と黒、シンプルな構成で現代アートを思わせる。(髙橋)
特選・読売新聞社賞
「赤ちゃん土俵入り」 横江 正幸(大津市)
選評
子どもの写真はよく見ますが、顔を出さずに撮るということと、この写真が良かったのは、ハチマキがあって、これが赤ちゃんだとわかること。足の表情がかわいく写っているので面白く、いい写真だと思います。(木村)
特選・朝日新聞社賞
「孤舟」 八木 武 (大津市)
選評
規則的な光と影の横波・・・このような状態が起こるんですね。そのチャンスを的確に写されているのが凄い。船のコンポジションも良く、バランスの取れた作品です。(髙橋)
特選・毎日新聞社賞
「ある日の漁港」 小西 昭彦 (大津市)
選評
2枚の写真が並んでおり、風景である空の色がグレーで海が少しでも青ければおかしくなるけれども、トーン的で特に左の写真もいい色がでていて、心証風景の中で気の利いた写真で粋であったと思います。(木村)
特選・産経新聞社賞
「ダム水景」 植田 信子 (草津市)
選評
風で水面が揺れて、このような現象が起こるのでしょうか? 長い時間、三脚を立てて佇んでおられたのでしょうか? そんな想像をしてしまいました。フレーミングも抜群、技術的に確かさを感じます。(髙橋)
特選・京都新聞賞
「小川のシャンデリア」 松谷 孝子 (草津市)
選評
厳しい冬の自然、凍った氷を見事に写されています。風景として捉えず、シャンデリアをイメージした独自性が素晴らしいと思います。質感描写、アップの構成力も良いですよ。それにしても、冷たいシャンデリアですね。(髙橋)
特選・NHK大津放送局長賞
「双竜降臨」 鈴木 博 (近江八幡市)
選評
特に左の写真は情景的に変わった雰囲気で、ましてそれに動きがあって、上にもブルーがあって、下にもなにか流れているという、不思議な造形の作品で、右側の写真もそれを補佐する意味の水の流れが捉えられて、2枚の写真で成功されていると思います。(木村)
特選・エフエム滋賀賞
「カラフル・マンション」 村居 幸路 (長浜市)
選評
爽やかで、おしゃれな写真。広角レンズで上から、あるいは下から煽ってないのが良い。真正面から同じ高さ、歪みのないアングルが功を奏している。女性が一人、ポツンといるのが効果的。(髙橋)
特選・BBCびわ湖放送賞
「承継」 上田 薫 (大津市)
選評
組写真の撮り方をよくわかっておられる方で、いきなり同じ人物が出てこずに、計算されて、左から提灯、真ん中が内容、右側が後ろ姿という力強い写真を持ってくる組み方が上手で、まとまっており良かったと思います。(木村)
特選・共同通信社賞
「春爛漫」 中村 和樹 (高島市)
選評
技術的にブラしているのが効果的、一つ間違うとサロンピクチャー的な古いタイプになるが、作者のコンセプトが明確なのか・・・新鮮な現代性も感じます。(髙橋)
特選・KBS京都賞
「余情」 松村 里子 (草津市)
選評
右の写真はパターン的に面白いと思いますが、私は特に左の写真に惹かれました。水面に映っている形が全体に写って面白い、不思議な写真を撮られる方で、どんどん撮ってもらったら、面白い組み方ができるのではないかと思います。(木村)
特選・時事通信社賞
「光と霧」 東 秀志 (大津市)
選評
全体に柔らかくて不思議な風景写真ですね。カラーなのか、モノクロなのか・・・定かでなく、右端のオレンジ色に照らされた樹木が印象的です。(髙橋)