第60回滋賀県写真展覧会(令和3年度)

滋賀県写真展覧会審査結果

出品作品内訳

出品作品総数 応募者数 知事賞・第60回記念賞
特選・入選数
527点 275人 128点

審査員

山本 功巳[写真家・(学法)日本写真映像専門学校講師]
西村 優子[写真家・日本広告写真家協会(APA)会員]

入賞作品

総評

コロナ禍の中2021年は一度延期になり、また作品制作に制限がある中でも力強い作品が集まりました。全般に特徴的だったことは、あれもこれもとたくさんの情報を入れてしまうことなく、情報量を少なくし、的確に伝えたい気持ちを表現できている方が多かったと思います。なかなか出来ないことです。作品を通じて皆さんの日頃の努力が見え、選外にする責任を感じながら審査をさせていただきました。写真は人生を豊かにしてくれます、選外になられた方も表現する自由を思いっきり楽しんで、また次回チャレンジしてください。(山本 功巳)

 

知事賞

「二人は?」 松村 里子 (草津市)

選評

清々しい気持ちの良い空間が感じられます。平行線と人が音符のように、階段の曲線がアクセントになり、平面的な写真に奥行きを与え、楽しいリズムが聞こえてきそうです。レンズの焦点距離もうまく使いこなし、総体的に素晴らしい作品です。(山本 功巳)

 

第60回記念賞

「夢紫陽花」 内藤 又一郎 (長浜市)

選評

花の色が美しく引き出され、とても幻想的な作品です。強さと儚さの両面を感じる同作品にとても魅力を感じます。普段見る紫陽花も美しいですが、それとは違った花の表情に、惹きつけられるような美しさをうまく表現できていると思います。(西村 優子)

 

特選・滋賀県議会議長賞

「行き交う幻影」 藤本 志郎 (大津市)

選評

3枚のイメージの調和、全体のまとまりが感じられます。色を抑えて表現されているところも意図に合って素晴らしいです。影の中にそれぞれの人の想いが伝わり、アート的な作風の中に社会的な問題も考えさせられます。(山本 功巳)

 

特選・滋賀県教育委員会教育長賞

「Tomorrow」 杉立 好正 (草津市)

選評

太陽の光条がアクセントになり、極寒の中の希望のようなものを感じました。氷柱の透明感やダイナミックさも上手く切り撮られていて、気持ちが明るくなるような作品だと思います。(西村 優子)

 

特選・びわ湖芸術文化財団理事長賞

「日本の誇り」 岩井 俊祐 (野洲市)

選評

どんなドラマがここにあるのだろうか?新たな出発、別れ、駅を守る人、通り過ぎる人。いつもの日常が特別な日常に思えてきます。写真でしか表現できない一瞬の切り取りが上手に表現されています。 (山本 功巳)

 

特選・滋賀県写真連盟会長賞

「悠久波紋」 服部 啓治 (甲賀市)

選評

光に照らされた景色が水に映り込み、まるで油絵のような色彩がとても素晴らしい作品です。見る方の気持ちが鏡のように反映されるように、様々な表情を感じます。(西村 優子)

 

特選・朝日新聞社賞

「夏の朝-Lotus-」 折笠 さつき (守山市)

選評

思い切ったアップの表現、最小限の情報の中にしっかり蓮を感じます。中央に花の鮮やかさ、左右の端に葉があることで全体に締まりがあり写真に緊張感が生まれます。水滴がダイヤモンドのように光って美しい作品です。(山本 功巳)

 

特選・毎日新聞社賞

「兆し」 福島 正則 (草津市)

選評

作者の着眼点がおもしろく、ストーリーを感じる組作品に仕上がっています。色の情報が無いことで不気味さや物々しさも感じますが、見る人によって、様々な兆しを解釈出来る作品だと思います。(西村 優子)

 

特選・読売新聞社賞

「ひとりぼっち」 糸井 正幸 (栗東市)

選評

ハイライトとシャドーの表現が面白いと感じました。よく見ると人がただずんでいます。広い世界で小さい存在の<人>でも、ひとり挑む姿は小さくとも力強く生きる力を感じます。(山本 功巳)

 

特選・NHK大津放送局長賞

「静かな朝」 中川 明子 (米原市)

選評

水面の動きと、野鳥の物静かに一方を向いている様子に静と動を感じました。写真の青みが、明け方のまだ薄暗い時間をうまく表現しています。
 このような写真は撮ろうと思ってもなかなか撮る事ができません。作者がこの写真を撮るまでの忍耐が伝わってきます。(西村 優子)

 

特選・産経新聞社賞

「Wanted!」 稲田 義雄 (大津市)

選評

シダの様々な表情と緑が目を引きます。1枚でも力強いですが3枚組にすることで力強さが倍増しています。写らないシダの奥にある生命体を感じ、マットや額を黒にすることでより鮮やかに緑を表現できています。(山本 功巳)

 

特選・BBCびわ湖放送賞

「漁港寸景(高浜漁港)」 髙田 好治 (栗東市)

選評

人工光を上手く利用しており、目を引く作品に仕上がっています。人物が全く写っていないこともあり、慌ただしく賑わった後の漁港に、まるで時が止まったような静けさを感じます。全て同じアングルの写真を組合わせることで、日常の自然な様を上手く表現しています。(西村 優子)

 

特選・京都新聞賞

「こころの蓮」 平野 康雄 (守山市)

選評

蓮の花が美しく心惹かれました。色や形を丁寧に忠実に表現されて、ピントもシャープでシンプルな表現がピンクの花弁をより一層美くしくしています。写真の白枠をカットすることでもっと写真が引き立つと思います、参考にしてみてください。(山本 功巳)

 

特選・エフエム滋賀賞

「産卵」 勝身 忠男 (高島市)

選評

水を撒き散らしながら暴れる鯉と、大きな水飛沫音が聞こえてきそうなくらいの迫力ある情景がすばらしい作品です。色の情報を抜くことによって、被写体の状態や緊迫感がダイレクトに伝わり目を引きました。(西村 優子)

 

特選・共同通信社賞

「雪坊主」 白井 和利 (野洲市)

選評

どこか異次元に迷い込んだような不思議な世界、永遠と続く雪の優しいフォルムが波のように、または人体の一部のように見えてきます。雪のコントラストと上下の配分が良く考えられた作品だと思います。(山本 功巳)

 

特選・KBS京都賞

「フユキタル」 オザキ シンイチ (湖南市)

選評

まっすぐ伸びたもみの木に、これからもっと雪が積り、厳しい冬に入る様子を目の前で感じ取れるような作品に魅力を感じました。場所取り、レンズ選びはもちろん、天候のタイミングまでも図り撮影された力作だと思います。(西村 優子)

 

特選・中日新聞社賞

「幽玄」 瀬川 正昭 (蒲生郡日野町)

選評

霞んだ光が美しく、自然の神々しさを感じます。実物大ぐらい大きく引き伸ばして、見てみたいです。撮影日時、天候、水面の写り込み、カモの位置もよく考えて撮影されたのではないでしょうか、全てが調和された作品だと思います。(山本 功巳)

 

特選・時事通信社賞

「Feel leaf」 杉谷眞人 (東近江市)

選評

光の読み方が素晴らしい作品です。なかなかこういった光の状態を見つける事は難しいですが、作者が冷静に撮影し何を伝えたいのか、良く整理された印象を感じます。(西村 優子)