第55回滋賀県写真展覧会(平成28年度)
滋賀県写真展覧会審査結果
出品作品内訳
出品作品総数 | 応募者数 | 芸術文化祭賞・特選・入選数 |
596点 | 305人 | 137点 |
審査員
木村 晃造 氏 [写真家・(公社)日本写真家協会会員(JPS)]
柳原 香 氏 [写真家・兵庫県写真作家協会委員長]
入賞作品
総評
出品作品596点のうち約4分の3以上を選外にしなくてはならないという心苦しい審査になりました。風景、スナップ、心象等、様々なジャンルから数多く出品されました。全体的にも『何をどう撮りたいのか』という作画意思がはっきりとした作品が多く、出品者の皆様の写真に対する熱意やパワーが強く感じられました。特に上位入賞作品は甲乙付け難く、しっかりと問題意識を持って被写体に対峙され撮影された個性豊かな作品がたくさんありました。
スマホやデジタルカメラの進歩により、写真人口も増え、また誰もが簡単にシャープな写真が撮れる時代です。だからこそより以上に、型にはまらない個性的な写真が求められるのでしょう。
驚きのある自己を主張した作品を期待したいと思います。
芸術文化祭賞
「踊り子」 土肥 美帆 (草津市)
選評
バレエ撮影といえば、舞台上での表情を収めた写真をよく目にするのですが、この作品は「表舞台」と「裏舞台」の二つのテーマを光や空間を適切にとらえながら表現しておられ、非常に奥行きと広がりのある作品だと感じました。会場の雰囲気や空気感、少女の可愛らしさまでもが伝わってきます。今までには無い作風ではないでしょうか。(木村)
特選・滋賀県議会議長賞
「飛翔」 福井 齋 (大津市)
選評
このようなタイミングではなかなか撮れない、驚きと迫力のある,瞬間を捉えた作品です。画面に静と動が混在しており、その対比がとてもよかったですね。飛び立つ白鷺の群れのブレも的確です。羽の音が聞こえてくるような作品です。(柳原)
特選・滋賀県教育委員会教育長賞
「25時の公園」 髙田 好冶 (栗東市)
選評
深夜の公園に浮かぶライトが、まるで子どもたちが遊んでいた軌跡のように動きある作品となって、とても面白く、楽しい作品です。この発想は、有るようで無いような、不意を突かれたような印象です。(木村)
特選・滋賀県文化振興事業団会長賞
「感動のウユ二塩湖」 小梶 富士雄 (東近江市)
選評
空が湖面一面に映るという現実の世界ではないような光景、自然の不思議さに驚かされます。同行者の方々なのでしょうか?人物をリズミカルに配し、洒落たスケールのある作品に仕上がりました。この地を訪れた作者の感動が伝わってきます。(柳原)
特選・滋賀県写真連盟会長賞
「春霞」 松尾 治之 (野洲市)
選評
天候状態もあったかとは思いますが、全体を白色でまとめておられ、中央写真でポイント的に人を並列して置き、両サイドでは動きある配置をされたことが、琵琶湖の風景に効果的に色を添えたと思います。大変まとまりのある、良い作品だと思います。(木村)
特選・産経新聞社賞
「絆」 松岡 憲一 (大津市)
選評
何気ない家族の日常を捉えた、新鮮味のある作品です。光と影をよく見て撮影され大胆な構図で、画面上部の影が全体を引き締めています。人物の配置もバランスがよく、若い家族の幸せな日々が伺えます。(柳原)
特選・BBCびわ湖放送賞
「追憶」 廣嶋 久夫 (近江八幡市)
選評
一見、素朴な印象を受けますが、人物が居ずとも白と黒という大胆な画面構成をされていて、その中で何気なく女性が佇んでいる感じが、光の加減と相まっています。見るほどに値打ち出てくる作品ではないでしょうか。(木村)
特選・中日新聞社賞
「雲立ちぬ」 原田 直 (大津市)
選評
重厚感漂う雲ですね。あまり見かけたことがありません。画面の真ん中辺りは暗く、面白い形がそろった家々の壁面にはまた光が射していて、大胆かつ力強い作品です。雲は重たく見えますが、作品自体は見ていて爽快さを感じました。(木村)
特選・京都新聞賞
「お使い」 源谷 進 (大津市)
選評
濡れた路面に映る少女の影が印象的です。とっさに撮った一枚でしょうが、カメラ位置もよくフレーミングにも無駄がありません。少女の背景のボケも適切で、湿度感空気感が表現されています。また、モノクロにしたことで色が省略されより効果的になりました。(柳原)
特選・時事通信社賞
「カーテンコール」 森本 正則 (高島市)
選評
何とも不思議な写真です。白のベールのようなものが何なのかはわかりませんが、ハッキリと判明しないところが、却って良い作品に仕上がっているのだと思います。木の構図も良いですし、お洒落な写真です。(木村)
特選・エフエム滋賀賞
「ソバージュ」 夏川 宗一 (彦根市)
選評
単なるヌード写真ではなく、モノトーンという色調の中に唇だけ強調し、大胆に構図をカットされているあたりにファッション性が感じられる作品だと思います。冒険されていて、なかなか面白い作品です。(木村)
特選・共同通信社賞
「瞬光に映える」 川嶋 健次 (栗東市)
選評
一瞬の光を上手く捉えられました。樹々の配列も効果的、光と影とのバランスも適切で幻想的な光景を演出しています。静寂感の中に暖かさを感じる作品です。(柳原)
特選・NHK大津放送局長賞
「雨上がり」 小菅 正一 (犬上郡多賀町)
選評
水たまりに雲が映り、雨の名残を伝えるかのように雫が落ちています。誰もが見過ごしがちな光景を作品にされたことは素晴らしいと思います。寂寥感とともに、見るものに色々なことを想像させる奥深い作品です。(柳原)
特選・読売新聞社賞
「触合い」 松原 修 (守山市)
選評
光線状態がとてもよく、童話の1シーンを切り取ったようなのどかな光景です。子供の表情もよく描写され、赤い傘がポイントとなり画面を引き締めています。見ていて心和む一枚です。(柳原)
特選・朝日新聞社賞
「青春・爆発」 山脇 正雄 (大津市)
選評
流行っているジャンプ写真ですが、この作品は構図が非常に計算されています。太陽のマークとジャンプとの位置関係が良いですね。表情も無邪気で、本人たちは苦労しただろうと察するのですが、とても素敵なショットです。(木村)
特選・KBS京都賞
「ダッシュ」 青木 宏樹 (愛知郡愛荘町)
選評
スポーツ感のある清々しい一枚です。細かな表情などはありませんが、画面手前の水しぶきが写真にスピード感を足しています。構図的にも、デザイン要素を含んだお洒落な作品だと思います。(木村)
特選・毎日新聞社賞
「雅」 横江 正幸 (大津市)
選評
作者の狙いがはっきりとし、構成的にも優れた作品です。思わせぶりな表現が、見る者の想像力をより高め、効果的だったのではないかと思います。(柳原)