10月29日 製作快調!長栄座!―文化の宝庫“近江”の魅力が満載です― - びわ湖芸術文化財団 地域創造部

 10月28日は、邦楽養成所の研究生たちによる箏の練習日で、本番前の最終調整のための稽古でした。将来公共劇場での創造活動が期待される若手箏曲演奏者の育成を目的として、昨年度からスタートした滋賀県邦楽邦舞専門実演家養成所。現在は、第1期生、第2期生が在籍し、11月3日4日に開催される平成の芝居小屋「長栄座」伝統と創造シリーズⅢにおいて、藤井凡大作曲「十のうた」―梁塵秘抄他より―と吉川英治作・宇野信夫脚色「新・平家物語」より杵屋正邦作曲「序曲」を演奏いたします。

 研究生たちの稽古風景をみていると「継続は力なり」というこの言葉の重みを実感しています。一人一人の箏の音が太く大きくなり、はっきり響いてくるようになりました。アンサンブルでの合奏訓練のため、個性よりも調和が求められますが、個々が主張し合いながら統一感のあるハーモニーを奏でます。音も澄み切っていて、合奏とは思えないほど一体感のある音色です。

 今回のご指導は、正弦社家元野村祐子先生です。チームワークを重んじ、楽典の基礎から作曲家独特の調弦手法など、実践を交えての訓練を6月から進めてきました。研究生たちとのコミュニケーションづくりをとても大切にしている祐子先生は、名古屋名物を持参して下さり、休憩中であっても研究生たちへのアドバイスを欠かさず、何気ない会話で研究生たちを励まします。その成果を間近に感じることができる我々スタッフは、製作プロセスの醍醐味を感じつつ、本番に向けてラストスパートです。

 一方、人間国宝常磐津一巴太夫師が本公演のために新たに作曲した「近江八景」は、八首の和歌を常磐津節にして語る異色の常磐津です。箏曲には近江八景を題材にした楽曲がありますが、三味線音楽にはなぜかありません。昭和36年から精力的に作曲を手がけ、37作目となる今回の近江八景の作曲は、今から非常に期待が高まっています。加えて、このたびの舞台美術には、文化功労者で舞台美術家朝倉摂師の近江八景をイメージ化した金屏風が長栄座舞台の前面に広がります。金箔に琵琶湖の波模様を描いた屏風は、一巴太夫師の浄瑠璃と相まってより一層格調高い舞台になることは間違いありません。

 是非、滋賀県立文化産業交流会館イベントホール特設舞台、平成の芝居小屋「長栄座」公演にご来場下さいませ。

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