第40回滋賀県芸術文化祭

第49回(平成22年度)滋賀県写真展覧会の入賞作品

○出品作品総数    578点

○応 募 者 数    300人

○入  選   数    135点 ※ 芸術文化祭賞・特選含む

○審  査   員    橋本健次氏(写真家・日本写真家協会(JPS)会員)
             中田 昭 氏(写真家・日本写真家協会(JPS)会員)

○入 賞 作 品   以下のとおり(敬称略)
【総 評】

 厳冬の風景から心温まるスナップ等、様々なジャンルから多数の応募がありました。入選上位から特選作品についてはレベルも高く、表現者として感性も備わり見せ方のうまさが感じられました。選外になった作品は、何処がどう違うのかを選評を手本として、各クラブの先輩にアドバイスを受け、次回は必ず入選入賞するという心構えで写していただきたく思います。

●芸術文化祭賞
「印象・モロッコ」 北中 實
[選評]

 どこにでもある裏街です。モノトーンによる表現で、超広角レンズにより奥行と広がりがシャープに写りました。手前の男と左右の男、露地を通り過ぎる人物のシルエットが絶妙で特に少し濡れた石畳が哀愁を感じさせます。

●特選・滋賀県議会議長賞 「うたかたの氷彩」 田中 延子
[選評]

 逆光に浮かび上がる樹木と雪。モノトーンの画面に少し色づいた光彩が効果的で、音も消えたような厳しい寒さが伝わってくる。タイトルにある「うたかた・・」の通り、恵まれた一期一会の出会いの瞬間を上手く捉えている。

●特選・滋賀県教育委員会教育長賞 「お花見」 園田 みちゑ
[選評]

 最高の舞台です。満開の八重桜、小さな鯉のぼりも効果的です。もしかしたら作者もこの中の一員かも。なごやかで、このおじさんはいったい何者なのかカメラマンに向ってバンザイをしています。いつまでもお元気で。

●特選・滋賀県文化振興事業団理事長賞 「高原の星空」 佃  義則
[選評]

 草原と木立、単純な風景の中、夜空の光跡を写されました。高い位置から何らかの人工光が当たっています。露出の算定がむずかしいのですが、うまく合いました。特に手前の黒いスペースを入れることにより立体感が出ました。

●特選・滋賀県写真連盟会長賞 「ハイ! ポーズ」 渡辺 正
[選評] 

 成人式の記念撮影のひとこま。喜びと元気はつらつさが、明るくカラフルな着物の色彩と相まって伝わってくる。4人の女性コンビの賑やかな表情、特に手の仕草が、効果的に働いた。一瞬を捉えたスナップの秀作。

●特選・産経新聞社賞 「梅雨一休み」 山岸 美佐恵
[選評]

 黒くシルエットになった建物と人物。青空に浮かんだ力強い雲と、イタリアっぽい?傘の絵柄に目線が集中する。作者の狙いと的確な画面構成力が発揮された作品。白い雲が飛ばず、トーンが残っているのも効果的。

●特選・読売新聞社賞 「働く幸せ」 井原  進
[選評] 

 町工場で働く人々の表情がすばらしい。カメラマンと被写体となった人物のコミュニケーションが成り立った記念写真です。左下の女性は多分笑ってくれなかったのでしょう。自然光と人工光、むずかしい光線の中見事に写されました。

●特選・BBCびわ湖放送賞 「桜花の頃」 和田 昭子
[選評]

 夢の中で見たような「デジャビュ(既視感)的」画面は、星や車のライトの軌跡、浮かび上がった桜のせいだろうか?撮影場所を下見し、桜の開花時期などのタイミングを計りながら撮影した努力が、画面に生かされた。

●特選・京都新聞社賞 「青 春」 小早川 利子
[選評]

 二度とない青春、青春に戻りたい。この写真は青春そのもので、何よりも青空が広がる中をかなり大きなラッパを吹く少女。背景が整理され被写体そのものが浮かびあがりました。特に表情と青空の映り込みがよく上下のカットも適切です。

●特選・NHK大津放送局長賞 「絶景に立つ」 藤田 文子
[選評]

 雄大な景色が、斜光線の中に浮かび、空気感や奥行き感もある。特に大きな岩に立つ二人の登山者のシルエットが効果的。気象条件や、色彩が移ろってゆく時間帯に、ベストポジションから撮影している。

●特選・中日新聞社賞 「夕 照」 増井 和美
[選評]

 ハイアングルからの撮影位置がよく砂浜一面が黄金色に輝きました。その中を青年が歩いています。逆光によるシルエットがいき、人間の持つ孤独感のような風景と人物がうまく絡みました。

●特選・日本経済新聞社賞 「都市空間」 廣田 良二
[選評]

 力強い画面構成で、目が引きつけられた。窓の反射と、丸く縁取られた広がる青空。そこに一筋の「飛行機雲」。このポイントが加わる事で、作品が大きく飛躍した。計算済みか、偶然か?作者の力量を感じた。

●特選・毎日新聞社賞 「勝 者」 北東 幸男
[選評]

 激しい水しぶき、競技者の動きや表情が、斜光線の中に浮かび上がった。被写体を正面からストレートに狙っていて迫力が出た。ピントの的中率と真剣な眼差しに入ったキャッチライトが効果的。組写真への展開も考えられる。

●特選・朝日新聞社賞 「蓮の流れ」 辰己 広敏
[選評]

 画面下部だけに微風があたったようです。上部の茎は堂々と流れいく花弁を見守っているようです。シンプルな構成と何よりもシャッタースピードの選定が良く特に3枚の花弁が画面内に入ったことが、より行く夏を感じさせました。

●特選・時事通信社賞 「立 枯 木」 奥村 貞雄
[選評] 

 淡い霧が立ち枯れした木々の背景を漂っています。中々出会えない光景です。そのことによって風景として奥行が出、幻想的な写真に仕上がりました。ただ少し緑が濃く霧にまで少し色がのったことが気にかかります。

●特選・KBS京都賞 「まなざし」 小椋 俊道
[特選]

 人柄を投影させたような、優しい眼差しを感じ、見ていると癒されてくる作品。ファインダーを通してカエルに真剣に向き合う、撮影時の静かな呼吸音まで聞こえてくる。色彩や、柔らかいボケ具合も美しく見飽きない。

●特選・共同通信社賞 「冬便り」 島ア 徳男
[選評]

 農具を入れる小さな小屋が里山を感じさせてくれます。淡雪か霧が降りた早朝、かすかな光が差し込んできました。色温度の差による淡いブルーの発色がこの写真の持ち味です。初冬の凛とした情景となりました。

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