第57回滋賀県写真展覧会(平成30年度)

滋賀県写真展覧会審査結果

出品作品内訳

出品作品総数 応募者数 芸術文化祭賞・特選・入選数
486点 250人 124点

審査員

髙橋 靖 氏  [写真家・(公社)日本広告写真家協会会員(APA)]
吉野 晴朗 氏 [写真家・(公社)日本写真家協会会員(JPS)]

入賞作品

総評

滋賀県の方々の写真熱、レベルの高さをひしひしと感じています。写真を楽しもうという作品と自己表現を試みようとする作品とのせめぎあいが難しいんですが・・・その両面の良さが、この展覧会で表出されればと思っています。大変良い刺激を得させていただきました。(髙橋)

芸術文化祭

「神域」 奥村 和弘 (甲賀市)

選評

伊勢神宮の精神性がひしひしと感じられます。仕上げがモノクロに微妙な着色もされてあり、柔らかさも感じます。画面全体から物足りない印象を受けますが、その静寂な物足りなさがかえって結界を漂わせて、神聖で人間が入って行けないような神秘さを感じました。(吉野)

特選・滋賀県議会議長賞

「平和の勉強」 清水 一司 (甲賀市)

選評

原爆記念館に学生が訪れているスナップだと思いますが、原爆を風化させないための気持ちのこもった静かな作品ですね。組写真として、原爆をこういう形で捉えられたことに頭が下がります。一番上の写真の女学生二人の姿がいいですね。(髙橋)

特選・滋賀県教育委員会教育長賞

「昼めし時」 今井 一克 (野洲市)

選評

これだけ大胆な構図ですとデザインに近いですね、かなり勇気がいるなという気がします。造形は抽象的になればなるほど時間を感じさせないので、タイトルの昼めし時というよりは鼻の造形を感じますね。白と黒の造形美といえます。(吉野)

特選・びわ湖芸術文化財団理事長賞

「袖」 内藤 又一郎 (長浜市)

選評

タイトルに「袖」とあるように、まさに袖をうまく利用した写真ですね。人物に大きな動きはないんですけれど、袖が翻っている、左側の写真は顔が隠れている、袖の動きを上手く捉えた感じがします。そして左の2点で被写体の少し上が切れているというのは、視覚的に身近に迫ってくる印象があります。そういう点でも上手く捉えています。(吉野)

特選・滋賀県写真連盟会長賞

「琵琶の波貌」 八木 武 (大津市)

選評

湖面に濃淡がつくというのは相当風の強い日ですね。手前の黒く見える湖面はちょっと不気味さを感じさせて、人間がいるヨットを小さく入れて、自然界の不穏というか、不安を感じさせます。ヨットで楽しんでいるというよりは、自然の威力を感じさせる、そういった力を爽やかな写真の中に織り込まれているような気がします。(吉野)

特選・NHK大津放送局長賞

「回す流儀」 上田 薫 (大津市)

選評

説明の多い写真は、表現力が薄くなる場合がありますが、この作品は、作者の主観がシンプル、いいルポルタージュですね。iso感度を高めて、フラッシュを使わずに自然光で撮影されたのでしょうか?心象的ないい作品だと思います。(髙橋)

特選・BBCびわ湖放送賞

「里山」 西河 孝 (近江八幡市)

選評

見た瞬間ほのぼのしたものが伝わってきます。おばあちゃんの顔がはっきり見えないんですけれども、周りの風景とか、着ている服とか、佇まいがほのぼのしています。カメラ位置も微妙に後ろからや上からと工夫されています。静かな中にも元気に生きている、長閑な生活風景が伝わってきます。(吉野)

特選・中日新聞社賞

「群泳」 村居 幸路 (長浜市)

選評

実際の鯉のぼりと、水に映る鯉のぼりとうまく重ね、全面の鯉のぼりからアトランダムでリズムを感じます。形のリズムと色のリズム両方あって、心も軽やかになる印象があります。(吉野)

特選・京都新聞賞

「獅子舞」 横江 正幸 (大津市)

選評

現代美術的な新しい獅子ですね?黒バック、思い切ったフレーミング、そして足が効いてますね。獅子の美しさだけに絞り込んだ単純明快な表現力でいいですね。(髙橋)

特選・産経新聞社賞

「リハーサル」 魚谷 和子 (大津市)

選評

演出された作品ですね。一人一人の姿態がリズミカルで、演出に嫌味が無くていいですね。日の丸の扇子が効果的でセンスのある作品です。(髙橋)

特選・KBS京都賞

「家路」 長谷川 敏行 (近江八幡市)

選評

モノクロで懐かしい、昔、暗室でバライタ紙にプリントしていたのを思い出します。おばちゃんが海をバックにして浮かび上がっていて、古びた家並みと構成がとてもいい。空が入る場合は空の表情を出さないと写真としては面白くないのですが、そこも上手くプリントされていて、しっとりとしたふるさとに風の音を感じます。(吉野)

特選・朝日新聞社賞

「里山の春」 山田 力 (野洲市)

選評

のどかな作品ですね。お地蔵さんと桜と・・・曇天だと思いますけれど光が凄く柔らかですね。シャドウの部分が周辺にあって、ノスタルジーを感じます。(髙橋)

特選・毎日新聞社賞

「トワイライト・トレイン」 岩井 俊祐 (野洲市)

選評

空のブルーの濃さと、下の稲の緑の濃さとが一緒で、間に夕暮れの雲が光っている、そこに電車のシルエットがシンプルで効果的に目立っています。画面を横切る鉄路は広角で左右が少し上がっているのも楽しいです。電車の音が聞こえてきます。(吉野)

特選・読売新聞社賞

「朝のダイヤモンド」 藤田 静子 (守山市)

選評

下がシャドウで上がハイライトで、立体的です。背後からの光に照らされた葉脈が美しい。フレーミングも端的でいいですね。(髙橋)

特選・エフエム滋賀賞

「瞑想」 春山 太郎 (高島市)

選評

白猫の毛やひげがすごくきれいに表現されていて、それが生きています。バックが真っ黒で猫が斜光のライティングで浮かび上がり、これもすごくきれいです。表情も目をつむってたっぷりした感じがでて、トリミングも上手くいっています。(吉野)

特選・共同通信社賞

「一苦一楽」 木村 孝一 (草津市)

選評

スイレンは普通水に浮かんでいるんですけれども、この作品では雲に浮かんでいるという、天地が逆転したような不思議な表現で、いろいろ想像をさせられます。(吉野)

特選・時事通信社賞

「蜃気楼」 小川 正一 (近江八幡市)

選評

こんなところがあるんですね、水に浮いた家並み、不思議な景観ですね。作品の構図も不思議さを出すように的確に計算されています。何処なんでしょうか?知りたいですね。(髙橋)